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たまたま出逢った

ニカちゃんを見つけた過去の自分を褒める毎日

807号室の話 (缶詰戦争編)

これは、ニカちゃんのお隣さんになりたーーーーーい!!!っていうわたしのかねてからの願望がただただ綴られているだけのお話です。




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まず、一人暮らしを始めたお家のお隣さんはニカちゃんという設定。わたしはなんか契約の手違いでいろいろあって(ざっくり)、家賃に見合わないかなりいいお家に住んでるっていうおいしすぎて尚且つ有り得なすぎる設定。だってニカちゃんのお家と同じクオリティのお家の家賃わたし払えるわけないもん。
とにかく世界一のラッキーガールな設定。

ニカちゃんは隣に女が引っ越してきたって知った時点で、まじか…ヤバいな…って思ってる。出くわさないようにとにかく気を遣う。扉開けた瞬間バッタリなんてことにならないように必ずわたしが家を出てからニカちゃんも家を出る。生きづらいね、ごめんねニカちゃん。
そうやって気を張って細心の注意を払ってたにもかかわらず、家を出た15分後に忘れ物を取りに戻ってくるという予測不能な行動をわたしがとってしまい、家を出た瞬間のニカちゃんとある日ついに遭遇します。めっちゃ気まずそうなニカちゃん。

もうね、わたしは目が点です。おはようございますっていう朝の爽やかな挨拶すらできない。だって目の前にニカちゃん。まさかの隣人がニカちゃん。もう忘れ物が何だったかも思い出せないくらいの衝撃。
「ニカちゃん」と口走りそうになるも、ニカちゃんから 俺のこと知らないよな?知ってようが知らなかろうがどっちでもいいけど知らないていな。俺のこと知らないよな? という無言の圧を感じ取り、精一杯冷静を装い「おはようございます」と挨拶だけしてその場はおさめます。
 
わたしは下心のかたまりなので、隣人がニカちゃんだと気づいてしまったこの状況で、何もしないなんて無理!なんとか接触を試みる。
 
まずはお裾分け。
手料理なんて100%食べてくれないから、缶詰渡します。既製品尚且つ密閉レベルの高い缶詰なら受け取ってくれるかも!
ニカちゃんが帰ってきたドアの音を聞いてすぐにでもピンポンしたいところだけど、すぐ行くと、うわ…帰ってきたの見計らってる…めっちゃ生活音聞かれてる…ってすんごく気持ち悪がられそうなので、時間をあけていざ出陣!仕送りだと言おうとか(自分で買ったけど)、たくさんあって食べきれないって言おうとか(渡す用しか買ってないけど)、絶対緊張するから予め台詞を頭に叩き込んで、ドキドキしながらインターホン鳴らします。
 
ピンポーーーン。………
ピンポーーーン。………
 
え?いるよね??……はっ!居留守!?
ですよねーーーーー!!!
当たり前すぎる!あの警戒心の塊が出てくるはずがない!よく考えればわかること!
いないのか…というションボリした顔しておとなしく帰ります。(いるの知ってるけどな!!!)
 
次の日1%の確率にかけてもう1回だけと思ってインターホンを鳴らしますが、やっぱり居留守を使われて諦めます。世の中は99%で回ってる。社会の厳しさを知ります。
 
ピンポンしても出てくれないから、偶然会う以外に直接的な接触はもう無理だと潔く悟る!この際、この缶詰を食べてくれたらもうなんでもいい!わたしの買った缶詰がニカちゃんの体内に入ればそれでいい!それだけで十分!満足!絶対食べさせる!(メラメラ)
 
次の日の深夜ニカちゃんが帰宅してポストチェックすると広告やら封筒に混ざって1枚メモが入っています。
 
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こんにちは。
隣の家の者です。
実家から缶詰が送られてきて食べきれません。よければ食べてください。ドアノブに掛けておきます。
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ニカちゃん、自分で買ったのに嘘ついてごめんね。
ニカちゃんの顔色曇りまくる。お裾分けとかめんどくせえとエレベーターで溜め息つくニカちゃん。
家の前でドアノブにかかってる紙袋に入った缶詰をみて うわ、本当にある… とまた溜め息。
隣の家のドアノブに掛け返そうかなとも考えるけど、反感買って余計面倒なことになると嫌なのでひとまず当たり障りなく受け取るニカちゃん。
 
翌朝わたしはドキドキして家を出ます。……!!!缶詰なくなってる!やった!わたしの買った缶詰がニカちゃんの血となり骨となり肉となる!勝利!と、とってもハッピーなわたしですが、ほんとは違うの。
 
ニカちゃんはとりあえず受け取ったけど、紙袋ごとキッチンの端の方に置いたっきり、何の缶詰かも確認することなくずーっと放置します。よくわからない人からもらった缶詰とかまじで興味ないから。
 
実際はわたしの買った缶詰は、ニカちゃんの血にも骨にも肉にもなっていなかったのでした。ちゃんちゃん。